東京高等裁判所 昭和35年(ウ)499号 判決
そもそも、仮処分債権者が本案訴訟の第一審において審理を重ねた結果、実体上の理由により敗訴した場合には、仮処分決定の際に一応疎明されたとする被保全権利存在の蓋然性が覆され、仮処分はその存続の基礎を欠くに至るものというべきであるから、仮令右判決は未確定であつても、控訴審においてたやすく取消される恐れあることが予想されない限り、仮処分取消の事由たる事情の変更を生じたものとするのが相当である。しかして成立に争のない甲第二号証(判決)によれば、本件仮処分の本案訴訟は昭和二十三年中に提起され、爾来十余年に亘り当事者双方がその主張立証の限りを尽して遂に第一審判決の言渡を見るに至つたのであり、且つその判決内容を検討するに、控訴審においてたやすくこれが取消される恐ありとは認められないのであるから、結局本件仮処分決定は事情の変更により、その存続を不当とするに至つたものといわざるを得ない。
(二宮 奥野 渡辺一)